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裁判所の資料(ファイル)を読む ―もくじ―

裁判所の資料(ファイル)とは
期間入札公告書とは
物件明細書とは
 ├@成立する法定地上権の概要
 ├A負担することとなる他人の権利
 ├B占有状況等に関する特記事項
 └Cその他買受けの参考となる事項
現況調査報告書とは
評価書とは



―B占有状況等に関する特記事項―(説明、意味、解説)
―B占有状況等に関する特記事項―(説明、意味、解説)―

現実の占有の状況及びその占有の根拠が買受人の負担することとなる他人の権利とは認められないと裁判所書記官が判断した内容を記載したものです。

この記載は、現況調査報告書等を基に記載されるため、現況調査報告書の状況を記載したものであり、その後に占有状況が変わっている場合もあります。

この欄に記載された占有者は、原則として引渡命令の対象となります。また、占有者が変わった後の占有者は「差し押さえ後の占有者」とし、引渡命令の対象となります。
(所有者及び所有者に準じる者の占有)
B−1 本件所有者(又は債務者)が占有している。
B−2 売却対象外の共有持分を有する○○が占有している。
B−3 ○○が占有している。△△の占有は認められない。
B−4 ○○が占有している。同人の占有権原の存在は認められない。
B−5 梶宦宸ェ占有している。同社の代表者は本件所有者(又は債務者)である。
B−6 ○○が占有している。同人は本件所有者(又は債務者)会社の代表者である。
B−7 ○○が占有している。同人は実行された抵当権の債務者である。
B−8 ○○が占有している。同人は実行された抵当権の設定時の所有者であった。
B−9 ○○が占有している。同人は実行された抵当権の設定後の所有者であった。
B−10 ○○が占有している。同人は所有権を主張している。

(第三者の占有)
B−11 ○○が占有している。同人は実行された抵当権以外の債務者である。
B−12 ○○が占有している。同人の占有権原は使用借権と認められる。
B−13 本件は,平成8年改正前の民事執行法が適用される事件である。
B−14 ○○が占有している。同人の賃借権は,正常なものとは認められない。
B−15 ○○が占有している。同人の占有(又は賃借権)は差押えに後れる。
B−16 ○○が占有している。同人の占有(又は賃借権)は仮差押えに後れる。
B−17 ○○が占有している。同人の占有(又は賃借権)は滞納処分による差押えに後れる。
B−18 ○○が占有している。同人の賃借権は抵当権に後れる。ただし,代金納付日から6か月間明渡しが猶予される。
B−19 ○○が占有している。同人の賃借権の存否(占有権原の存否,占有権原の種別)は不明であるが,代金納付日から6か月間明渡しが猶予される賃借権が存在するものとして売却基準価額が定められている。
B−20 ○○が占有している。同人の賃借権は,差押え(仮差押え・滞納処分による差押え)後に期限が経過している。
B−21 ○○が占有している。同人の賃借権は,平成○年○月○日の経過により,差押え後に期限が経過するものである。
B−22 ○○が占有している.同人の賃借権は,所有権移転の仮登記担保権に後れている。(ただし,代金納付日から6か月間明渡しが猶予される。)
B−23 ○○が占有している。同人の賃借権は抵当権に後れる。
B−24 ○○が占有している。同人の賃借権は,一時使用を目的とするものと認められる。
B−25 ○○が占有している。同人の賃借権は,対抗要件を有していない。
B−26 駐車場として使用されている。使用者(ら)の占有権原は買受人に対抗できない。
B−27 転借人(又は転使用借人)○○が占有している。
B−28 売却対象外建物(家屋番号○番)が本件土地上に存在する。
B−29 占有者は不明である。占有者の占有権原は買受人に対抗できない。
B−30 氏名不詳者が占有している。同人の占有は差押えに後れる。
B−31 氏名不詳者が占有している。同人の占有権原は買受人に対抗できない。
B−32 ○○が占有している。同人が留置権を主張するが認められない。
B−33 ○○が占有している。同人は外交特権を有している可能性がある。

(農地関係)
B−34 ○○が占有している。農地法3条の許可を受けていない。
B−35 ○○が占有している。同人の賃借権は抵当権に後れる。農地法3条の許可を受けている。
B−36 ○○が占有している。同人の占有権原は使用借権と認められる。農地法3条の許可を受けている。
B−37 ○○が占有している。同人の賃借権は差押えに後れる。農地法3条の許可を受けている。

―記載事項の解説―
(所有者及び所有者に準じる者の占有)

B−1
本件所有者(又は債務者)が占有している。

―解説―

売却対象物件の所有者又は実行された抵当権の債務者が占有していることを意味します。所有者(又は債務者)が占有している形態には,現実に居住している場合のほか,長期間不在の状態や空き家の状態があります。また,空き家の場合も家財道具などの残留物がある場合と完全な空き家の場合があります。



B−2
売却対象外の共有持分を有する○○が占有している。

―解説―

売却対象不動産を複数人が共有しており、今回の競売で対象となっている持分以外の共有持分権者が占有している場合の記載です。

このような占有者については、引渡命令が発令されない可能性があります。



B−3
○○が占有している。△△の占有は認められない。

―解説―

「○○」は裁判所書記官が認定した占有者です。「△△」は、占有の主張をする者や占有の外観を作っているにすぎない者を意味します。

執行官の現況調査報告書において占有を主張する者がいたり,占有の外観がうかがわれる場合でも,占有の実態がなかったり,他人の占有に依存した利用状態にすぎないような者についての判断を記載したものです。



B−4
○○が占有している。同人の占有権原の存在は認められない。

―解説―

他人の不動産を占有するには,通常,所有者との間で何らかの使用できる権利(占有権原)の設定がなされていますが,そのような権原があるとは認められない者が占有している場合の記載です。



B−5
梶宦宸ェ占有している。同社の代表者は本件所有者(又は債務者)である。

―解説―

法人が占有し,法人の代表者が所有者又は実行された抵当権の債務者である場合の記載です。占有者である法人が,その規模その他の状況を考慮すると執行手続上所有者(又は債務者)と同視できる場合です。



B−6
○○が占有している。同人は本件所有者(又は債務者)会社の代表者である。

―解説―

法人が不動産を所有していたり,実行された抵当権の債務者である場合,その法人の代表者が占有しているという意味です。

占有者が,所有者(又は債務者)会社の代表者という特別な関係にあることから,占有権原を主張することが信義則に反すると認められ,執行手続上所有者と同視できると考えられています。



B−7
○○が占有している。同人は実行された抵当権の債務者である。

―解説―

売却手続進行中の本件競売事件の債務者ではないものの,後から申し立てられた競売事件(後行事件)の基となった抵当権の債務者(所有者以外の者)が占有しているという意味です。

この場合の債務者は既に実行された抵当権の債務者ですので,占有権原を主張することはできず,所有者と同視できると考えられています。



B−8
○○が占有している。同人は実行された抵当権の設定時の所有者であった。

―解説―

競売事件(後行事件を含む。)の基になった抵当権の設定時の所有者が、その後に不動産を他に譲渡したものの,なお現にこれを占有しているという意味です。

抵当権を自ら設定した者は,他に譲渡したとしても,占有権原を主張して買受人に対し引渡しを拒むことは,著しく信義に反するので,執行手続上所有者と同視できると考えられています。



B−9
○○が占有している。同人は実行された抵当権の設定後の所有者であった。

―解説―

競売事件(後行事件を含む。)の基になった抵当権を設定した者から不動産を譲り受け,更にこれを他に譲渡したものの,なお現にこれを占有しているという意味です。

このような中間所有者は,不動産の所有を続けていれば,所有者としての立場に立つので,執行手続上所有者と同視できると考えられています。



B−10
○○が占有している。同人は所有権を主張している。

―解説―

登記名義上の所有者と異なる者が所有権を主張し,占有している場合です。所有権の譲渡を受けて不動産を占有していたものの,その所有権移転登記を経ないうちに,競売事件となった場合や他人名義で不動産を取得した者が自ら占有している場合など事実関係が事案ごとに異なり,所有権について争いが起きる可能性がある場合もありますので,注意が必要です。

なお,上記のような占有者は,執行手続上は,買受人にその占有を対抗できません。



(第三者の占有)

B−11
○○が占有している。同人は実行された抵当権以外の債務者である。

―解説―

賃借権を主張する者が,今回の競売での実行抵当権以外の抵当権の債務者である場合(所有者である場合を除く。),その者が債務不履行状態と認められるときは,その賃借権が最先のものであっても,買受人が引き受けるべき賃借権とは認められない場合があります。これはその場合の記載です。

このような場合でも,その者が債務者となった抵当権について競売開始決定がない限り,その占有者に対して引渡命令が発令されない可能性がありますので注意が必要です。



B−12
○○が占有している。同人の占有権原は使用借権と認められる。

―解説―

使用借権とは相当の対価を支払わないで借りている場合です。この使用借権は,買受人に対してその権利を主張できず,買受人が引き受けるべき権利とはなりません。



B−13
本件は,平成8年改正前の民事執行法が適用される事件である。

―解説―

平成8年改正前の民事執行法が適用される読売事件においては、引渡命令の対象が現行法より狭く,占有吉の占有権原が,使用借権や買受人に対抗できない賃借権であっても,所有者との正当な契約に基づく限り,引渡命令が発令されない可能性があります。

引渡命令が発令されないときは,任意の明渡しを受けられなければ訴訟等の方法によることになります。

平成8年改正前の民事執行法が適用される競売事件は,平成8年8月31日以前に申し立てられたものです。



B−14
○○が占有している。同人の賃借権は,正常なものとは認められない。

―解説―

この記載は,次の(1)又は(2)のいずれかの場合であることを示しています。

(1)抵当権に後れる賃借権が改正前の民法395条の規定により短期賃借権として保護されるのは,利用を目的とし,かつ,実際に利用されている正常な場合に限定されると考えられています。

そうでないときは,短期賃借権の外形が認められたとしても,短期賃借権として保護されることはありません。
 
これは法の趣旨が担保権と利用権の調整を図ったものであるからです。この記載は,その保護すべき短期賃借権とは認められないと判断したことを示すものです。

このように判断される主な形態としては以下のようなものが考えられますが,これらに限られるものではありません。

@本来の利用を目的としない場合

A債権の保全回収目的である場合

B利用の実体がない管理運営目的(単に所有者の代理人的な立場で物件を管理又は賃貸事業を運営するために設定された賃借権)である場合

(注)平成15年の民法改正(平成16年4月1目施行)により短期賃貸借保護制度は廃止されましたが,法の経過措置により,短期賃貸借保護制度の適用の余地がある占有を前提としたものです。

(2)平成15年改正法が適用される占有においても,この記載がある場合は明渡猶予期間が認められないことを意味します。



B−15
○○が占有している。同人の占有(又は賃借権)は差押えに後れる。

―解説―

この記載は本件競売手続の差押えに後れる占有者がいることを意味します。仮にこの記載がされている占有者が賃借権に基づいて占有していても、その占有は本件競売手続の差押えに後れているので,賃借権は売却によって消滅し,買受人がその負担を引き受けることにはなりません。



B−16
○○が占有している。同人の占有(又は賃借権)は仮差押えに後れる。

―解説―

本件競売手続の差押え前の仮差押えに後れる占有者がいることを意味します。

仮にこの占有者が賃借権に基づいて占有していたとしても,仮差押えに後れているので,賃借権は売却によって消滅し,買受人がその負担を引き受けることにはなりません。

ただし,売却までに仮差押えが効力を失ったときは,買受人がその賃借権を引き受けることもあり得ますので注意してください。



B−17
○○が占有している。同人の占有(又は賃借権)は滞納処分による差押えに後れる。

―解説―

本件競売手続の差押え前の滞納処分による差押え(租税官庁の差押え)に後れる占有者がいることを意味します。

仮にこの占有者が賃借権に基づいて占有していたとしても,滞納処分による差押えに後れているので,賃借権は売却によって消滅し,買受人がその負担を引き受けることにはなりません。

ただし,売却までに滞納処分が効力を失ったときは,買受人がその賃借権を引き受けることもあり得ますので注意してください。



B−18
○○が占有している。同人の賃借権は抵当権に後れる。ただし,代金納付日から6か月間明渡しが猶予される。

―解説―

占有者の賃借権に基づく建物の占有が,最先順位抵当権より後れるため,賃借権は売却によって消滅し,買受人がその負担を引き受けることにはなりませんが,法の規定により,買受人が代金を納付した目から6か月間買受人に対する物件の明渡しが猶予されることになります。

この明渡猶予期間経過後でなければ引渡命令に基づく弛制執行をすることはできません。

ただし,買受人が建物を買い受けた後に,同建物の使用の対価の1か月分以上の支払を相当の期間を定めて占有者に催告したにもかかわらず,その支払がなかった場合には,占有者は,明渡しの猶予を受けることができなくなります。

(注)平成15年の民法改正(平成16年4月1日施行)により短期賃貸借保護制度が廃止され,明渡猶予制度が適用される占有についての記載です。



B−19
○○が占有している。同人の賃借権の存否(占有権原の存否,占有権原の種別)は不明であるが,代金納付日から6か月間明渡しが猶予される賃借権が存在するものとして売却基準価額が定められている。

―解説―

現況調査や執行裁判所による審尋等の結果によっても,賃借権の有無が分からない場合や占有権原が特定できない場合があります。

左記の記載は,その賃借権に明渡猶予が認められることは確定していませんが、占有者が賃借権の存在を証明すると明渡猶予が認められることとなるため,買受人がその不利益を披ることのないように売却基準価額が定められたことを表しています。



B−20
○○が占有している。同人の賃借権は,差押え(仮差押え・滞納処分による差押え)後に期限が経過している。

―解説―

○○が占有している。同人の賃借権は,差押え(仮差押え・滞納処分による差押え)後に期限が経過している。

この場合,仮差押え又は滞納処分による差押えは差押え前のもので,差押えは本件競売手続の差押えのことです。

差押え・仮差押え・滞納処分による差押え後に期限が経過した短期賃借権は,それ以降の更新は買受人に対して主張することができないと考えられています。

したがって,買受人がその負担を引き受けることにはなりません。

ただし,売却までに仮差押又は滞納処分による差押えが効力を失ったときは,その賃借権の期限経過が差押え前である限り,賃借期間の更新を買受人に主張できることになり,買受人がその短期賃借権を負担として引き受けることもあり得ますので注意してください。


(注)平成15年の民法改正(平成16年4月1目施行)により短期賃貸借保護制度は廃止されましたが,法の経過措置により,なお短期賃借権が認められる場合の記載です。



B−21
○○が占有している。同人の賃借権は,平成○年○月○日の経過により,差押え後に期限が経過するものである。

―解説―

○○が占有している。同人の賃借権は,平成○年○月○日の経過により,差押え後に期限が経過するものである。

―解説―

物件明細書作成時において,短期賃借権の期限経過が間近に追っている場合の記載例です。

この記載がある場合,通常、売却までに期限が経過し,その賃借権を買受人が負担として引き受けることはありません。

(注)平成15年の民法改正(平成16年4月1目施行)により短期賃貸借保護制度は廃止されましたが,法の経過措置により,なお短期賃借権が認められる場合の記載です。



B−22
○○が占有している.同人の賃借権は,所有権移転の仮登記担保権に後れている。(ただし,代金納付日から6か月間明渡しが猶予される。)

―解説―

所有権移転仮登記が担保仮登記である場合,その権利は売却により消滅し,これに後れる賃借権も買受人に対抗できません。

仮登記担保権に後れる賃借権には短期賃貸借保護制度の適用はありません。

ただし,売却までに仮登記担保権が効力を失ったときは,その賃借権を買受人に主張できる場合があり,買受人がその賃借権を負担として引き受けることもあり得ますので注意してください。



B−23
○○が占有している。同人の賃借権は抵当権に後れる。

―解説―

抵当権の後に設定された土地に対する賃借権を買受人が負担しないことを表しています。



B−24
○○が占有している。同人の賃借権は,一時使用を目的とするものと認められる。

―解説―

一時使用目的の建物の賃貸借には,借地借家法が適用されず、登記以外の対抗要件(買受人などの第三者に権利を主張できるための要件)はありません。

本記載は,賃借権登記もなく,一時使用目的としているため,買受人が負担として引き受ける賃借権には該当しないということです。



B−25
○○が占有している。同人の賃借権は,対抗要件を有していない。

―解説―

借地人が,土地賃借権を土地の買受人に主張するためには,その賃借権につき,通常であれば次のような対抗要件を備えておく必要があります。

@建物所有を目的としない賃借権であるときは,その登記

A建物所有を目的とする賃借権であるときは,その登記,又は借地人が登記されている建物を所有していること左記の記載は,借地人が上記のような対抗要件を備えていないために,買受人が土地賃借権を負担として引き受けることにならないことを示しています。



B−26
駐車場として使用されている。使用者(ら)の占有権原は買受人に対抗できない。

―解説―

売却対象土地が駐車場として使用されており,かつ,使用者(ら)の占有権原が買受人の引き受ける権利とならない場合の記載です。



B−27
転借人(又は転使用借人)○○が占有している。

―解説―

もとの賃借権自体が,買受人が負担として引き受けることにならない場合で,その賃借権者(転貸人)から更に賃借している人(転借人)又は無償で借りている人(転使用借入)が占有している場合です。この場合,買受人は転貸借(転使用貸借)による負担を引き受けることにはなりません。

通常は,左記の記載に引き続き,もとの賃借権が買受人の負担として引き受けることにはならないと判断した理由を簡潔に記載してあります。



B−28
売却対象外建物(家屋番号○番)が本件土地上に存在する。

―解説―

売却対象土地の上に売却対象外建物がありますが,借地権や法定地上権などの買受人に対抗できる敷地利用権は認められなという意味です。

買受人は,地主として土地使用の承諾をしない限り,建物所有者に建物の収去(取壊し)を求めることができます。任意の収去に応じてもらえないときは,建物収去土地明渡しの訴訟を提起して判決等を得た上,強制執行をする方法があります。

なお土地に対する引渡命令に基づいて、建物収去の執行をすることはできません。

通常は,左記の記載の直前に,敷地利用権が買受人の負担として引き受けることにはならないと判断した理由を簡潔に記載してあります。



B−29
占有者は不明である。占有者の占有権原は買受人に対抗できない。

―解説―

一定の調査を尽くしても,占有者が,所有者や実行抵当権の債務者なのか、あるいはそれ以外の第三者なのかが不明であり,その占有権原も買受人が引き受ける可能性のある賃借権かどうかも不明な場合で,次の理由により,買受人の負担として引き受ける権利とは認められない場合の記載です。

仮に第三者が賃借権に基づき占有していたとしても,その占有の開始時期が差押えの後であることが判明していたり,あるいは正常な賃借権とは認められない場合は,その占有権原は買受人の引き受ける権利とはなりません。

また,所有者や実行抵当権の債務者が占有しているのであれば,当惑にその占有権原は買受人の引き受ける権利とはなりません。



B−30
氏名不詳者が占有している。同人の占有は差押えに後れる。

―解説―

所有者や実行抵当権の債務者以外の第三者が占有していることは判明しているが,その氏名等が特定できず,その占有権原も判然としない場合ですが,その占有の開始時期が差押えの後であることが判明しているため,買受人が負担として引き受ける権利とはならない場合の記載です。



B−31
氏名不詳者が占有している。同人の占有権原は買受人に対抗できない。

―解説―

所有者や実行抵当権の債務者以外の第三者が占有していることは判明しているが,その氏名等が特定できず,その占有権原も判然としない場合ですが,その占有権原が仮に買受人が引き受ける可能性のある賃借権であったとしても,正常な賃借権とは認められず,買受人が負担として引き受ける権利とはならない場合の記載です。



B−32
○○が占有している。同人が留置権を主張するが認められない。

―解説―

売却対象物件に対して留置権を主張して占有する者がいますが,法律上留置権の発生は認められないと認定した場合の記誠です。

なお,左記の記載に加えて占有の形態と留置権の主張を簡潔に記誠している場合もあります。



B−33
○○が占有している。同人は外交特権を有している可能性がある。

―解説―

ウィーン条約により、外国の外交官等には外交特権が認められ,目本国の裁判権が及ばない可能性があるため、引渡命令が発令されない可能性があります。



(農地関係)

B−34
○○が占有している。農地法3条の許可を受けていない。

―解説―

農地又は採草放牧地に賃借権又は使用借権を設定するには,農地法3条に定める農業委員会又は知事等の許可を必要とし,その許可がなければ仮に賃借権であっても執行手続上効力を生じません。効力が生じていない権利は,買受人が負担として引き受けることにはなりません。

なお,農地の入札方法については,通常の入札方法と異なりますので、ご注意下さい。



B−35
○○が占有している。同人の賃借権は抵当権に後れる。農地法3条の許可を受けている。

―解説―

農地又は採草放牧地に賃借権を設定するには,農地法3条に定める農業委員会又は知事等の許可を必要としますが,その許可があっても,左記の記載がある場合は,賃借権が抵当権に後れるため、買受人がこの賃借権を負担として引き受けることにはなりません。

なお,この場合,農業委員会の取扱いによっては,買受適格証明書の交付が占有者等に制限され,その取得ができない場合がありますので,あらかじめ管轄する農業委員会に確認してください。

また,農地の入札方法については,通常の入札方法と異なりますので,ご注意下さい。




B−36
○○が占有している。同人の占有権原は使用借権と認められる。農地法3条の許可を受けている。

―解説―

使用借栢とは相当の対価を支払わないで借りている場合です。農地又は採草放校地に使用借権を設定するには,農地法3粂に定める農業委員会又は知事等の許可を必要としますが,その許可があっても,買受人がそれを負担として引き受けることにはなりません。

なお,この場合,農業委員会の取扱いによっては,買受適格証明書の交付が占有者等に制限され,その取得ができない場合がありますので,あらかじめ管轄する農業委員会に確認してください。

また,農地の入札方法については,通常の入札方法と異なりますので,ご注意下さい。



B−37
○○が占有している。同人の賃借権は差押えに後れる。農地法3条の許可を受けている。

―解説―

農地又は採草放牧地に賃借権を設定するには,農地法3条に定める農業委員会又は知事等の許可を必要としますが,その許可があっても,賃借権が差押えに後れると判断される場合には,買受人がそれを負担として引き受けることにはなりません。

なお,この場合,農業委員会の取扱いりよっては,買受適格証明書の交付が占有者等に制限され,その取得ができない場合がありますので,あらかじめ管轄する農業委員会に確認してください。

また,農地の入札方法については,通常の入札方法と異なりますので,ご注意下さい。
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